続・激務は人を変える……。
~前回のあらすじ~
「おめぇ!マジでいい加減にしろよ!半年間も、愚痴ばっか言ってんじゃねーよ!いいか!仕事ってのは辛いものなんだよ!でもな!みんなそれを我慢して頑張って頑張って毎日出勤してんだよ!しかもお前みたいに弱音も吐かずに頑張ってんだよ!」
数年前、仕事で落ち込んでいた僕に対して友人は、そんな言葉を告げてくれた。
僕は、その言葉に感動を覚え、それを機に仕事を頑張るようになった。
今、僕がこうして今日も明日も元気に仕事ができるのは彼のお陰と言っても過言ではないのだと思う。
そんな彼から昨日一通のLINEが入った。
「ニートになったわ」
僕はあの時の恩を返すために、自宅の冷蔵庫からスーパードライを数本袋に入れて彼のアパートへと向かった。
以上、前回のあらすじでした。
詳しくは、この記事を読んでください。
(どん兵衛にお湯を入れてから読むと、ちょうどいい頃合いに読み終わります)
~本編~
友人のアパートに着くと、彼は何かにとり憑かれたかの様な暗い表情で出迎えてくれた。
僕「……おう、大丈夫か?」
友人「大丈夫じゃねぇよ」
お互い晩御飯をまだ食べていない事もあり、最近本格的に気温が高くなってきたのだが、なぜかキムチ鍋を自分達で作って食べることにした。
買い出しに行くため、車で最寄りのスーパーまで向かったのだが、道中での会話は一切なかった。
僕「………………」
友人「………………」
僕も友人も仕事の話をしたいのだが「今、この車の中ではない」と二人とも思っていたのであろう、お互いが全く喋らなかった。
次、どちらかが口を開くとき、それは「なぜ仕事を辞めたのか」その議論が交わされる、そんなことも考えていたのかもしれない。
(ちなみにスーパーに着いてからは、豚肉にするか鶏肉にするかで尋常じゃない口論を繰り広げました)
アパートに着いてから、僕は友人に「先に呑んでおけよ」と一言伝え、鍋の仕込みに一人で着手した。
友人はテレビを見ながらビールをジュルジュルと飲んでいた。
ほどなくして鍋が出来上がり、二人で乾杯をして、クーラーガンガンに利かせて鍋をつっつきだした。
「でさ、早速、本題なんだけど、………なんで辞めたの?」
「………仕事が辛い……」
その一言を皮切りに、友人の口からは仕事の愚痴がボロボロと出てきた。
詳しく話を聞いてみると、どうやら今までお世話になっていた上司が部署転換で変わってしまい、その次に着任された上司が結構なワンマンらしい。
友人は、そのワンマン上司に上手くハマッていないらしく、最近ずーっと雑務ばかり押し付けられていたとのこと。
終わりが見えない雑務のせいで、日付が変わるまで会社にいることもザラみたいである。
一日の平均就業時間を聞くと、友人曰く「出勤時間と同時に初代ポケモンをさいしょからはじめると退勤する頃にはポケモンリーグにいると思う」と言っていた。
(なんて分かりづらい例えなんだ!)
僕は、あの頃の恩返しも含め、励ますことにした。
「大丈夫だよ」、「お前を上手く使えなかった上司が悪い。お前は悪くないよ」、「だから、また頑張ろう」
友人は、「ありがとう」と言って俯いていた。
その時、僕には非常に言いたいセリフが一つだけあった。
「今は辛くても、いつかは光が見えてくるよ」
数年前、このセリフを友人が言い放ち、不謹慎にも僕が「くさっ!」と感じたセリフである。
これを今の友人に言ったとき、彼は思うだろう。
「くさっ!」と……。
「お前臭いこと言うなよw」と笑いながら言う友人に向かって僕はこう返すのだ。
「いやいや、数年前にお前が言ったセリフだから!w」
そして、二人に「笑い」という名の優しい風が吹いて、友人も気持ちが次に進めるだろう。
僕は、それを強く感じて、言うことにした。
「今は辛くてもさ、いつかは光が見えてくる。だから頑張ろうぜ」
友人は、少し驚いた表情をした後、直ぐにそれを崩して笑いながら言った。
「そうだな、<今>という闇の中に<お前>という光がいて良かったよ。そういう意味では俺にはもう光が見えているかもな……」
あ、こいつヤベーわ。
ってか、俺なんかよりも全然違うステージにいる。
正直、ちょっと距離を置こうかな……。
いや、でも大切な友達だし…!
え?ってか、俺たちもう30代だぞ…。
こいつマジか……。
二人の気持ちのすれ違いが起きながらも、キムチ鍋はグツグツと煮込んでとても美味しかったです。
何にせよ、友人よ、
落ち込むことも大切だけど、早く気持ちをすっきりさせて次の仕事が見つかるといいな!!頑張れ!応援してるぞ!!